普通の日記

今日は新人歓迎会だったわけで、呑みながら取り留めの無い話をしていたわけだが
「そういや先週桜は満開でしたけど案外長持ちしてますね」
「もう葉桜になりそうなもんですよね」
「それと今年は花の色が白っぽいよねえ」
「そういや墓地の桜ってもっとピンク色っぽいよね」
「死んだ人の養分吸うと色が濃くなるんじゃないですかね」
「箱江君埋めたらどうなるかねえ」
「さあ、脂肪多いから色はあまり良くないんじゃないですかね」

話は数日前に遡る。
散った花びらを親戚の子が集めては吹いて飛ばしていた。
「散ったけどまださほどでも無いね」
「見て、これは死んだ人の魂なのよ。死んだ人が多いほど花びらの色は白くなるよ」
「ほう、内田百間の小説でも似たような話があったな。この前読んでなかったっけ?」
「さあ、何のことだかわからないわ」。彼女は集めた花びらを吹いてから薄く笑った。